現在、日本は未象有の超高齢化社会を迎えつつあります。医療の進歩は日進月歩ですが、未だ、高齢者が健康を保って過ごせる状況からは、ほど遠いのが実情です。

特に、中年に発症するメタボリック症候群(肥満、糖尿病、高血圧などが合併した状態)の患者数の増加が顕著であり、これに起因する心臓、脳、血管、腎臓などの障害が、幸福な高齢化社会への大きなネックとなっています。今までに、メタボリック症候群の成因としては、代謝異常と慢性炎症が共存して臓器障害をもたらすことが知られていますが、これに対する治療方法の開発は全く不十分な状況です。

そこで、当教室では、最先端のプロテオーム解析、遺伝子改変マウスやFRET等の手法を駆使し、インスリン抵抗性と代謝異常の分子機序を浅野グループが、持続的な炎症反応の分子機序を鎌田グループが分担して解明を進めています。両方の研究を融合させ、代謝性疾患や発癌への関連を明らかにし、新規治療方法の開発に結びつけることが、教室としての目標です。